2010年9月19日日曜日

宝船と呪文

宝船(たからぶね)とは、七福神が乗る宝物を積み込んだ帆船。宝船には珊瑚・金銀・宝石など、様々な宝物が積み込まれている。そのため宝船はおめでたい船とされ、この船に七福神が乗っている様子をかたどった置物などが縁起物として親しまれています・・・・。

また、宝船が描かれた絵には、帆掛け船に米俵や宝物を乗せ七福神が乗り込んだ絵に『なかきよのとをのねふりのみなめさめなみのりふねのをとのよきかな』という回文(かいぶん)歌が書かれていることがあります。

「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな
(永き世の遠の眠りのみな目ざめ波乗り船の音のよきかな)
*「回文」とは・・・上から読んでも下から読んでも同字・同文になる詞句のことです。

この絵を正月2日の夜、枕(まくら)の下に置いて寝ると吉夢をみるといわれています。そうです初夢のことです。古くは除夜の晩とか元日とか、節分の夜とかにされていたようですが、今日では正月2日とされたといいます。

本来の宝船は今と違って、宝物や七福神を乗せたものでなく、旧年来の災いを船に乗せて流すものとして扱われていたのです。船の帆に「獏(ばく)」という字を書くのは、中国でいう想像上の動物である獏が悪夢を食べるといわれているためだそうです。いずれにしても、宝船よりも初夢を気にすることが当時の一番大切なことだったのかなと思います。
良い年をむかえるという気持ちが強くあった時代だったのでしょう。

七福神は、大黒天(だいこくてん)・恵比須(えびす)・毘沙門天(びしゃもんてん)・弁財天(べんざいてん)・福禄寿(ふくろくじゅ)・寿老人(じゅろうじん)・布袋(ほてい)です。